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Soul Eyes

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#2です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by Black Face Sheep

1972年製「一家に一台」カメラ - Canon Canonet G-III 19

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ポチリヌス菌感染による右手人差指けいれん発作が起きてしまい、こんなものがうちにやってきました。
これは1972年(昭和47年)に発売されたフィルムカメラ、Canonet G-III 19です。
軽量コンパクトで、明るいレンズが装着されたレンジファインダーカメラが欲しくなってしまったのですよ。

昭和時代、カメラは『一家に一台』が普通でした。
家族旅行やお正月や夏休みを写すための家庭用カメラは、操作が簡単で誰でも使えるモデルが人気でした。
このCanonet G-III 19は、そんな「一家に一台」カメラの代表格の一つでした。



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このCanonet G-III 19は、通称"QL"と呼ばれるフィルム装填システムが人気でした。
フィルムカメラって、慣れてないとフィルム装填に失敗することが多いんですよね。
ちゃんとフィルム装填したつもりでも、パーフォレーションがかみ合わず、空送りになってしまうのです。

撮影後に裏蓋を空けると、フィルムが送られずにベロ出したままのパトローネが残っているのを発見・・・
この脱力感、味わったものでなければわかりません。(;・∀・)
そんなフィルム装填の失敗を防止し、誰でも間違いなく簡単迅速にフィルム装填するための画期的装填方式がこの"QL"方式です。



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QLシステムでのフィルム装填は簡単です。
フィルム端を右下のオレンジ色の位置に置き、歯車にパーフォレーションの穴が入っているのを確認し、裏蓋を閉めるだけ。

後はこのQLシステムが、自動的にフィルムの先端を巻き込んで行ってくれます。
真ん中やや右上にはフィルム給装確認窓があり、巻き上げている最中にこの中の紅白のシマシマが動いていればOKです。
"QL"とは、"Quick Loading"の頭文字なんでしょうね、『急速装填』です。

このQLシステム搭載カメラ、そのコンパクトなサイズとフィルム装填の簡便さで、当時は行列ができるほどの人気を誇ったのだとか。
いつの時代もキヤノンって、売れる商品企画が上手です。

キヤノンのQLシステム、このCanonet G-III 19で三代目です・・・それでGIII、3rd generationなんでしょうね。
実を言うと、このQLシステムの二代目にあたる"New Canonet QL17"、15年前に使っていました。
確実な動作、切れ味良くボケも美しいレンズが気に入っており、もしまたRF機を買うなら、三代目のQLにするつもりでした。^^



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「一家に一台」カメラに必須の簡単撮影の工夫は、自動露出です。
この赤い"A"に絞環をセットして、しかるべきシャッター速度を選択すると、素人でも確実に適正露出で撮影できます。

このCanonet G-III 19は、『シャッター速度優先』による自動露出カメラです。
シャッター速度は撮影者が選択する必要がありますが、絞値はカメラが合わせてくれます。
晴天時なら1/250、曇天なら1/125、室内なら1/30がお勧めのシャッター速度かな、1/30が青いのは手振注意警告かと。

このQLシリーズの長所は、もし電池が消耗したり露出計が故障していても、マニュアル露出で写真が撮れるところです。
上の絞環を"A"からずらして、任意の絞値と任意のシャッター速度で写真が撮れます。
ISO100のフィルムを使って、晴天ならF8で1/250、暗い曇天ならF5.6で1/125・・・Sunny 16ルールですね。



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Canonet G-III 19のレンズは45mm F1.9と、明るいレンズです。
かつての「一家に一台」のカメラは、絞り開放値が明るいカメラが多かったですね。

ちなみに、このQLシリーズのカメラは40mm F1.7が上位機、45mm F1.9が普及バージョンとして売られていました。
Canonet G-III 17 40mm F1.7が29,000円、Canonet G-III 19 45mm F1.9が26,000円でした。
中古マーケットでも、40mm F1.7の方が人気のようです。

40mm F1.7と45mm F1.9、微妙な違いですが、私は若干ながら画角が狭い45mmを選びました。
40mmはRollei 35Sを持っているし、自分の好きな50mmに少しでも近いので。^^

カメラの右上に見えるのがファインダーと連動距離計用の窓です。
レンジファインダーカメラは、ファインダー内部に見える二重像を合致させてレンズの焦点を合わせます。
3m以上になれば目測でもピンボケしませんが、近接撮影の際には連動距離計があると助かります。

また、レンズの上に見える窓の中に露出計のセンサーがあります。
PR-60などの暗いフィルターを装着しても、レンズに入る光量と同じ光量で測光できるのが便利です。
このカメラのフィルター径は48mmなので、48-49mm、49-52mmのステップアップリングでAi Nikkor用52φのPR-60を使っています。



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このカメラのバッテリーは本来、1.3VのH-D型水銀電池1個でした。
でも環境負荷の問題で水銀電池は手に入らなくなり、同じ形状の"PX625" "PX625U"と呼ばれるアルカリ電池を使います。

この電池は1.5Vなので、1.3V用のカメラで使うと、若干露出オーバーになりますね。
でも御年52歳のカメラゆえ、露出計のCds素子も経年劣化しており、実写の際には、ASA感度を調節してやる必要があります。

露出計をチェックしてみたら、ISO100のフィルムでASA64ぐらいに設定すると、適正露出になるようでした。
ただ、室内など光量の少ない場所での露出は少々危なっかしいところがあり、スマホの露出計アプリを使います。



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自動露出中心で撮影してみましたが、露出はほぼ正確で、ネガ濃度にばらつきは少なかったです。
現像はいつもの通り、ロディナールの200倍希釈で60分静止現像です。

Canon Canonet QL19 G-III 45mm F1.9
Kentmere PAN 100 (EI 100)
Adox Adonal (a.k.a. Rodinal, 1:200, Stand Development, 60 min. at 20 deg. C)
Scanned by Epson GT-X770
Post Processed by Adobe Lightroom classic



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フィルム写真ブログの"Silver Oblivion"でご紹介済みですが、このCanonet G-III 19で撮った写真をいくつか。
これはF1.9の絞り開放、半逆光で光が微妙なので、自動露出ではなくスマホ露出計を使ってのマニュアル露出です。



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こちらはPR-60フィルターを装着して撮影しました。
3段アンダーになる濃赤色のフィルターですが、自動露出でも無問題でしたね。



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こちらは自動露出での撮影・・・1/500で、ファインダーの中の露出指針はF2.8ぐらいだったかな。



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こちらは曇天下での自動露出、良好な階調です。



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こちらはマニュアル露出、F1.9で最短撮影距離の80cmでの撮影。
さすがに45mmでF1.9、最短撮影距離ですから、コンパクトカメラと言えども良く背景がボケます。



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Rollei 35Sと比べると、かなり大柄に見えますが、Rollei 35Sが小さすぎると言うべきでしょうね。
Canonet G-III 19とRollei 35S、コンセプトがまるで違うカメラです。
「一家に一台、誰が使ってもそれなりに写るカメラ」と、「徹底した超小型化、撮影技術が要るがプロ画質のカメラ」です。

Rollei 35シリーズは、おライカさまに比べると安価でドイツのクラフトマンシップが味わえるカメラですね。
ヤフオクでも2万円ぐらいから使い物になる個体が手に入ります。



1972年製「一家に一台」カメラ - Canon Canonet G-III 19_d0353489_11582489.jpg
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しかし最近、このQLシリーズの中古も、結構値上がりしていていて驚きました。
15年前に所有していたNew Canonet QL17はヤフオクで2,000円でしたが、このCanonet G-III 19は送料込みで8,338円でした。

こういうレトロな「カメラらしい金属カメラ」、若い人たちにも人気なんだそうで、需要がそれなりにあるようです。
そういやPentaxがフィルムカメラの新製品を開発中だとか・・・気は確かか、Pentax。(;・∀・)

フィルム写真は、手間がかかって低クォリティです。
きれいな写真を撮るだけならスマホで十分、実際、今日の写真はすべてGoogle Pixel 8で撮影しました。
でも、撮っていて楽しいのはフィルム写真なんですよね、「撮ったど~♪」と言う実感が違います。

この4月末でフィルム写真ブログの"Silver Oblivion"も15周年ですが、性懲りもなく駄作写真を毎日更新しています。
フィルム価格が高騰し、いつまで続けられるかわかりませんが、Canonet QL19 G-IIIも来たことだし、とりあえず20周年を目指します。^^






愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Google Pixel 8
Adobe Lightroom Classic

Canon Canonet QL19 G-III 45mm F1.9
Kentmere PAN 100 (EI 100)
Adox Adonal (a.k.a. Rodinal, 1:200, Stand Development, 60 min. at 20 deg. C)
Scanned by Epson GT-X770
Adobe Lightroom classic


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Commented by getteng at 2024-02-13 06:41
blackfacesheep2さん
Canonにこんな可愛いカメラがあったとは知りませんでした。
最近はフイルムカメラは埃をかぶっております。
Commented by j-garden-hirasato at 2024-02-13 07:37
半世紀も前のカメラが、まだまだ現役で使えるとは、驚きです。
ついついポチっとでしたか。
これでモノクロを撮られているのですね。
現像もご自身でされているのですか。
写真人生、長くなりましたが、
自分で現像をすることはなかったです。
Commented by h6928 at 2024-02-13 09:13
この手のカメラが世間を賑わせていたころには、
ボクは安月給の中でも一大決心をして買った一眼レフのペトリV6を手に悪戦苦闘していました💦
最低限写るだけの機能しか無かったので、まぁ、逆に強制的にいい勉強をさせられました。
あの頃世間様では今では差別用語となってしまった呼び方をされたこういうカメラは一気に普及しましたね。
その後、仕事でも写真撮影を任されるようになって、フィルムで大失敗もやらかしました('◇')ゞ
フィルムそのものを装填した「つもり」で撮りまくっていて、後で空だったことに気付いても後の祭り・・・・。
自分でも情けないし上司には怒られるし・・・・忘れもしない「カラフィルム事件」は、後世の語り草になりましたとさ(*´з`)
デジタルになってからは、カラメモリーカード事件もやらかしています。
これはプライベートだったから自分が情けないだけで済みましたが。 いくつになってもミスが付き物なボクでした。
Commented by aitoyuuki13 at 2024-02-13 13:09
New Canonet QL17は会社の同僚からいただいたカメラで今も所有しています
30年ほど前に仕事でニュージャージーに出かけたとき連れ出しました
物珍しい被写体がいっぱいのN・Yで活躍しましたよ

今は無き旧WTCにもいっしょに上ったカメラで感慨深いです
Commented by pothos9070 at 2024-02-13 15:16
キヤノンのQL機構はいいな~と思いつつ、とうとう買わずじまいでした。
プラスティックボディのオートボーイなら、押入れの奥のほうに眠っていると思いますw
もちろん動きませんが。。。。
この頃のアンバーのコーティング、これ見ると、あぁレンズやなぁ~と思います。
この色は見てて飽きないです。

Pentaxはまぁ正気じゃないでしょう(笑)
でも私、それが出たら欲しいなぁ^^;
第2フィルム黄金時代って来ないでしょうかね。
来ないよね~( ;∀;)
Commented by iwamoto at 2024-02-13 16:49 x
このくらい写せれば、大したものだと思います、マシンというより撮影者が。

巻き上げ失敗、あります。
長尺の缶から自分でパトローネの中に巻いてゆくのですが、最後のカットが雑だったのですね。
パーフォレーションが破れてしまって・・・。

中学の頃かな、クイックという言葉で思い出しましたが、ラピッドシステムというのもありましたね。
インスタマチックとの戦いがしばらく続きました。
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:32
getteng さん、こんにちは。^^
このカメラはベストセラーになったらしく、オークションではいつもたくさん出品されてますね。
今でもなおフィルムカメラを使っている人は、少数派も良いところだと思います。(;・∀・)
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:34
j-garden-hirasatoさん、こんにちは。^^
中途半端に新しい電子式カメラは使い物にならないものが多いですが、半世紀のカメラは機構がシンプルなので使えますね。
白黒フィルムなら自家現像も簡単ですよ、カレーライスが作れる人なら、可能なレベルです。(;・∀・)
Commented by magnifika-2 at 2024-02-13 18:35
テディちゃんたちばかりに目がいってしまい内容の濃さに注意散漫でした。
勉強しにもう一度出直させてもらいます(笑)
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:41
星の小父さま、こんにちは。^^
おお、ペトリV6ですか、シャッターボタンが斜めに生えてる奴ですね、スピゴットマウントのレンズでしたね。
フィルム時代はいろいろなミスがありましたよ、中でもフィルム装填ミスはへなへなと腰が崩れ落ちるような脱力感でした。
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:43
愛と勇気さん、こんにちは。^^
おお、New Canonet QL 17、お餅でしたか、信頼できる名機ですよね、NJやNYCにも持っていきましたか。
一眼レフだと嵩張って重いですが、このぐらいのサイズなら携行も楽ちん、旅行カメラとして最適解ですね。^^
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:46
ポトスさん、こんにちは。^^
フィルム時代の末期に登場したオートフォーカス、オートワインディングのカメラは、壊れやすく、今はもう動かない個体が多いですね。
Pentax、あの正気じゃないところが持味ですね、実を言うと私も、どんなのが出てくるか、わくわくして待ってるんです。(;・∀・)
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:49
iwamoto 師匠、こんにちは。^^
45mmと言う画角は中途半端ですが、意外に使いやすいですね、ただRF機は一眼レフと違って、視野率が悪いのが辛いです。
おお、長尺フィルムを使っていらっしゃいましたか、フィルムで大量に撮影するなら、あれは安上がりで良いですよね。
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 18:51
magnifika-2 さん、こんにちは。^^
ブツドリの際には、ベアちゃんたちにいつもお手伝いしてもらっています、ブツだけだと不愛想になりますもんね♪
いやいや、今更フィルムカメラなんて使う必要ないですよ、スマホで十分きれいに写ります。^^
Commented by photofloyd at 2024-02-13 19:18
ポチリヌス菌感染って恐ろしいような、楽しいような変な病気を引き起こしますね。右手人差指けいれん発作は私も時に起こしますが・・・原因は違うようです。(笑)
こうようカメラをいじっていると楽しいですね。しかしフィルムの巻き上げは、135は殆どがオートになつたと思いますが・・・Canonがはしりでしたか?
しかしフィルムの値段はどこまで上がるのでしょうかねぇ・・・・
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-13 19:53
photofloyd さん、こんにちは。^^
ポチリヌス菌感染は、現代の業病でしょうね、何年経っても寛解しないし、特効薬もないです。(-_-;)
電気の力で自動化されたフィルムカメラ、使い物にならないものが多いですが、機械式のカメラはいまだに現役続行中ですね。^^
Commented by uto2317 at 2024-02-13 21:16
うわ、私が初めて買ったカメラがこれと同じだったと思います。
もうちょっと時代が後ですが。。
フィルムカメラは今また人気のようですが、
一枚も無駄にできない緊張感が良かったですね(笑)
Commented by golden_giraffe at 2024-02-13 23:58
ポチリヌス菌…しばらく治っていても突然発症する怖い病気ですね^ ^
しかもポチッとするまで暴れるという恐ろしさがあります^ ^
フィルムは高くなりましたね…エクター100は一本4千円近くするんですね(O_O)
そんな時代にフィルムカメラを出そうとするペンタックスの変態性が好きです^ ^
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-14 08:17
うとさん、こんにちは。^^
初めて買ったカメラ、このCanonet G-III 19でしたか、一世を風靡した人気モデルだったらしいですね。
そうそう、シャッターボタンを押す前は「ほんとにこれでいいんだよな?」と自問自答しながら撮影してますよ。(;・∀・)
Commented by blackfacesheep2 at 2024-02-14 08:19
金の麒麟さん、こんにちは。^^
ポチリヌス菌の感染発作、インターネット時代になって顕在化しましたね、夜中でも簡単に発作が出てしまいます。(;・∀・)
カラーフィルムはもう高くて使えませんね、一本千円以下で買えるのは、このKentmereぐらいになってしまいました。(-_-;)
by blackfacesheep2 | 2024-02-13 05:00 | Hardware | Comments(20)