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Soul Eyes

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#2です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by Black Face Sheep

兄の跡を継ぐためにドイツから帰国した弟

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SC1と白い刻印のある物体が、ドイツのシュトゥットガルトからやってきました。



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3/22にeBayで落札した古いフィルム一眼レフカメラが、ようやく到着しました。
実際にはプチプチに包装されてましたが、絵面的に美しくないので撤去し、クッションのドイツ語新聞だけ残しました。(;・∀・)

このカメラはRevueflex SC1と言い、長野県のチノンがドイツの通販会社のために1979年頃にOEM製造したカメラです。
シャッター回り、どことなく既視感があるカタチをしていますねえ。^^



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先日、私のM42レンズの母艦カメラ、Revueflex AC1が壊れました。
Revueflex AC1は私のお気に入りで、かつて"Welcome Home, Unsung Heroes!"(お帰りなさい、無名戦士たち)をポストしました。

退院直後の私をがっかりさせないために、最後の力を振り絞ってフィルムを一本、完璧に撮影してくれました。
その後、安心したかのように息を引き取りました・・・なんとも健気なカメラでした。

M42レンズの母艦を失って呆然・・・母艦になりうるカメラ探しが始まりました。
Pentax SP系は露出計がCdsであてにならないし、耐久性に問題がある個体が多いので却下。
FUJICA ST系はSPD露出計だけど、視野率が低すぎるし、絞り込みボタンが固くて指が疲れてくるので却下。

コシナのBessaflexは年式が新しくて理想的だけど、その分、高価なので却下。
東独のPRAKTICAやソ連のZENITは、クォリティがあまりに共産圏的なので却下。(;・∀・)

結局、まともに使える廉価なM42母艦はチノン製しかない・・・早速eBayで代替機をチェックしました。
一番良いのはまたRevueflex AC1を落札することだったんですが、なかなか良い個体が見つかりません。
でも、AC1の弟分にあたるRevueflex SC1の綺麗な個体が出品されているのに気が付きました。

AC1は、M42レンズ機ながら瞬間絞込み測光自動露出を採用したAE機でしたが、SC1はフルマニュアル機です。
でも、AC1のパーツをそのまま流用してマニュアル露出機を作ったらしく、姿形はそっくり、まさしく兄弟機です。
上の写真でも、名前の他の相違点は、AC1のマウント右部に設けられたAEロックボタンだけですね。

SC1、お値段はちょっと高めだったのですが、値下げ交渉で50オイロにしてもらい、落札しました。



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上から見ると、SC1(上)とAC1(下)の違いが分かってきます。
SC1のシャッター速度ダイヤルはごく普通ですが、AC1には"AUTO"があります・・・M42マウントなのにAE機なんです。

またAC1の感度設定ダイヤルには、AE機らしく露出補正目盛りが設定されています。
さらに感度設定ダイヤルの右下は、SC1はバッテリチェッカーですが、AC1はアイピースシャッター開閉スイッチです。



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SC1、シャッターボタンに瞬間絞込み測光自動露出機だったAC1の遺伝子を感じます。
AC1は、シャッターボタンを押し込むと、設定したF値まで纈羽根が絞られ、その際の測光値に基づきシャッター速度が決まります。

マニュアル露出機のSC1なら、こんな凝った構造は必要なかったのかもしれません。
Pentax SP系やBessaflexのようなマウント部測光スイッチや、FUJICA ST系のような測光ボタンでも良かったのかも。
でも、チノンとしては部品を共通化した方がコスト競争的に有利だと思ったのでしょうね。

その結果として、SC1はAC1のガサツなシャッターフィーリングも継承してしまいました。
フェザータッチとは無縁、皿のように大きなシャッターボタンを「ぐわしゃ。」と無理くり押し込む感じです。(;・∀・)



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SC1の露出計は針式ではなく、三点LED表示です・・・21世紀発売のフィルムカメラ、Bessaflexと同じです。
一番上の赤は露出オーバー、一番下の赤は露出アンダー、真ん中の緑が点灯すると適正露出です。

でもBessaflexとは異なり、SC1の三点LEDはファインダーの外にありますね。
これが意外に重宝で、ファインダーを覗かなくてもレンズを向けるだけで露出計測ができます。^^

このRevueflex SC1のオリジナルモデルは、CHINON AM-3だそうです。
先行したCHINON CM-3のマイナーチェンジのようで、ペンタプリズムの形状が若干違います。

チノン製M42マウントカメラの最終モデルは、この後1980年ごろに出たCHINON CS-4で、Revueflex SD1が同型です。
これらのモデルは、コスト削減のためにボディがプラスチックとなり、見るからに安っぽいです。
小型軽量なのはありがたいんですが、クラシックカメラらしい持った時の心地よさがなく、物欲を刺激しません。(-_-;)



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Ilford FP4 Plus 125を入れてテスト撮影し、Adox Adonalで静止現像したネガです。
実はこのSC1、SPD素子がへたっていたようです。

FP4+は公称感度ISO125ですが、そのISO値で設定すると露出オーバー、ISO200の設定で適正となりました。
ISO設定を微調整したおかげで、どのコマも適正な露出で写っていました。

フルマニュアル機なので、露出計が死んでいても撮影可能ですが、あてになる露出計が使える方が撮影が捗ります。
Revueflex SC1で撮った写真は、私のフィルム写真ブログに上げてあります。



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私のお気に入りレンズ、Pentax SMC Takumar 55mm/F1.8を装着してみました。
シャープな解像、美しいボケで一世を風靡し、日本で一番売れたレンズじゃないでしょうか。^^
このレンズが使いたいがために、M42母艦を探しているようなものですね。



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Hanimex 28mm / F2.8 MCを装着したところです。
Hanimexとは、オーストラリアやニュージーランドで通信販売された撮影機材のブランドで、OEM100%だそうです。

この28mm、”Made in Japan"の刻印以外は謎のレンズで、日本のどのメーカーが作ったのか、判然としません。
小堀製作所のTefnon/Koboron、PentaxのTakumar-A 28mm F2.8の改造版、いろんな説があります。

チノンがOEMしたRevueflex SC1には、相応しいレンズかもしれませんね、お得意先の名前で出ています、みたいな。^^
RevueflexとHanimex・・・ブランド志向でカメラを選ぶ人は、絶対に手を出さない廉価品コンビです。
次回はこのコンビでテスト撮影をしてみたいと思っています。



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「兄ちゃん、ただいま、ドイツから帰って来たよ。」

「おお、弟よ、お帰り。俺はもう撮影できなくなり、文鎮になってしまったよ。」

「シャッターが下りなくなったんだってねえ、でも、おいらが兄ちゃんの跡を継ぐから、安心してよ。」

「このSMC Takumar 55mm F1.8、お気に入りのレンズなんだよ、俺の形見として使ってくれ。」

「うん、おいらは兄ちゃんほど凄い才能はないけど、頑張って撮影するから草葉の陰から見守っていてね。」

「絞優先AEは便利だけど、意思決定は自分でやりたいフォトグラファーは、お前を気に入るはずだよ。」

「ところで兄ちゃん、あの黒い蒲鉾板みたいな奴は何かな・・・さっきからおいらたちをじっと見つめてるけど。」

「おお、あれか、あれは『すまほ』と言ってなあ・・・」

な~んて会話を脳内で妄想してしまいましたよ、Google Pixel 5a、ブツドリでも良いお仕事ぶりでした。^^



愛知県みよし市三好ヶ丘にて
Commented by j-garden-hirasato at 2022-04-29 06:44
後継機が手に入って何よりでした。
eBay?
日本語が買える海外通販サイトなのですね。
blackfacesheepさんなら、英語でやり取りでしょうか。
ドイツから海を渡ってやって来たのですね。
このドイツのカメラメーカー、知りませんでした。
ロゴが何か無骨な感じで、ドイツらしい?
Commented by getteng at 2022-04-29 08:35
blackfacesheep2さん
貴兄はどんなマシ-ンでも乗りこなせるので凄いや!
今後の作品を楽しみにしております。
Commented by noblivion at 2022-04-29 08:53
j-garden-hirasato さん、こんにちは。^^
eBayは世界最大のオークションサイトですね、かつては英語だけでしたが、今は各国語バージョンもありますね。^^
このカメラは信州の茅野にあったチノンがドイツの通販会社のために作ったMade in Japanなんです、お里帰りさせました。^^
Commented by noblivion at 2022-04-29 08:55
getteng さん、こんにちは。^^
この時代のカメラは操作方法がだいたい統一されてますので、マニュアル無しでも使えますよ。
試写してみましたが、大きな問題はないので、私も今後の撮影を楽しみにしております。^^
Commented by houbow at 2022-04-29 09:27
チノン懐かしいですねぇ
私は故郷が茅野市でして、チノンは同地の茅野氏がこしらえたものですねぇ
はじめ工場は茅野にありましたが諏訪市に移りました。

私が茅野にいたころは、まだチノンというカメラはありません。

Commented by pikorin77jp at 2022-04-29 10:16
カメラのことはさっぱりわかりませんが ドイツ語の新聞に包まれた段ボール箱の中のカメラの画像から 最後のテディーベアちゃんの画像まで 見ていてとっても楽しいです。 先日 奥さまが作られてた カメラバッグ 今挑戦しています。いつのことになるやら。でもオリジナルバッグ 完成させたいです。
Commented by floreta2 at 2022-04-29 11:28
こんにちは。
わー これまた凄い記事ですね
カメラとの会話がほんまにしてるみたいで楽しい〜
クマちゃんもそっと横で聞き耳たてているみたい(笑)
いつも絞り優先で撮られているのですか?
これから愉しみですね
Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 12:13
houbow さん、こんにちは。^^
チノンのブランド名は創業者の茅野氏の名前、創業地の名前からとられたのでしょうね。^^
OEMでの輸出が主体だったので、日本市場ではほとんど知られておらず、デジタル時代になってコダック傘下にはいりましたね。
Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 12:15
pikoさん、こんにちは。^^
あはは、この手のブツドリにはベアさんたちのお手伝いが不可欠ですね、ブツだけだと冷たくなります。(;・∀・)
おお、布製のカメラバッグ、今挑戦中ですか、ぜひ素敵なものをおつくりになってくださいな♪
Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 12:18
フロちゃん、こんにちは。^^
擬人化するのが大好きなので、カメラネタだとよく会話させちゃうのですよ。
このSC1はフルマニュアルですね、たいてい絞値を決めておいてからシャッター速度で調整して撮ってますね。^^
Commented by iwamoto at 2022-04-29 12:41 x
兄の引退で弟が呼び戻され、会社を継ぐみたいな感じなんですね。
面白い記事に仕上がりました。
新しいスマホとの対比、自分の中での双方のバランス。
スマホのレポと合わせ、羊師匠に、より一層の信頼感。
Commented by lapie-fr at 2022-04-29 14:18
ヌメロ 10 っかな
今日は、まったく、付いて行けニャイ ^^
お好きなんですね
好きなものってたくさんあるのが勝ちっだと思ってます
黒顔羊さん、まさにっです ^^v



Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 15:21
iwamoto 師匠、こんにちは。^^
今回の記事は、兄弟機ということでスムーズにタイトルが決まりましたね、最後の会話部分を一番最初に書きましたよ。
このカメラは面白いカメラなのに、ネット上にほとんど情報がなく、ウェブ資産とするために気合を入れて書きました。^^
Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 15:23
らぴさん、こんにちは。^^
あはは、今日のポストはウェブ資産用の記事ですから、オタク以外はついて行けないのが普通、悩まないでください。^^
そうですねえ、自分が好きなもの、興味があるものはするすると文字数が増えるんですが、苦手なものは・・・(-_-;)
Commented by jikomannte at 2022-04-29 16:57
特定のレンズが使えるようにカメラを中古で入手する、
フイルムカメラ愛なんでしょうね。
撮るだけでしたらα7Ⅲにマウントアダプターで解決
しますもんね。
私もフイルムカメラで・・・、ふと思ったりしますが
時間とお金が掛るので、私には厳しいですね。
Commented by blackfacesheep2 at 2022-04-29 18:39
純さん、こんにちは。^^
古いレンズはほとんど手放してしまいましたが、このTakumar 55mm F1.8だけは手放せずに、いまだに持っています。
おっしゃるようにデジタルで獲れば簡単なのでしょうが、あくまでもフィルムにこだわりたいと言うのが厄介ですね。(;・∀・)
Commented by デジタルカメラ at 2022-09-18 17:04 x
デジタルカメラ
by blackfacesheep2 | 2022-04-29 05:00 | Hardware | Comments(17)