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Soul Eyes

黒顔羊のデジタルフォトギャラリー#2です。光蜥蜴(ヒカリトカゲ=光と影)や錆びたもの・滅びゆくものが大好きです。 自分の魂の目に感光したものは何でも撮ります。


by Black Face Sheep
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ポチリヌス菌が運んできた平和な広角レンズ

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クリスマスはもう終わってしまいましたが、在庫写真がまだまだあります・・・(;・∀・)
わが家のクリスマス・デコレーションを撮ってみました。

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ちょっと引きの構図です・・・標準画角より広い範囲が写ってます。
そしてフォーカスの来たところ以外は、かなりボケてます・・・広角の大口径レンズで撮ってます。

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このサンタさんが乗ったSL、一枚目に写っているよう、かなり小さいです。
でも、ここまで大きく写ってます・・・でも、画角は広いですね。
この3枚を撮ったレンズは、広角で近接能力に長けた大口径レンズと言うわけです。

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さて、種明かしです。
ベアさんたちがしげしげと眺めている黒いレンズが、上の3枚を撮ったレンズでした。
例によってeBayに棲むポチリヌス菌が、ウクライナから運んで来ました。

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このレンズの名前は、Arsenal MC MIR-24N 35mm F2.0と言います。
MCを名乗るだけあって、グリーン系とパープル系がミックスされた美しいレンズコーティングです。

ちなみに”MIR"「ミール」と言うのはロシア語で「平和」とか「世界」と言う意味らしいです。
先日、岡崎にある「ミール・カフェ」さんを訪問してきましたが、あそこのガラスドアに描かれているのと同じキリル文字ですね。
また”24H"とありますが、キリル文字の”H"はラテン文字では”N"です。

シリアルナンバーの最初の二桁を見ると"90"とあります・・・ソ連邦が崩壊する直前の1990年製のレンズですね。
作ったのは、ウクライナの軍需工場、アルセナールです・・・栗のようなマークがアルセナール工場の印です。

アルセナール製の撮影機材を使うのは久しぶりですね。
ハッセルブラードの初期型コピー、Arsenal Kiev 88Cと言う中判カメラをかつて所有していました。
そのカメラに付いてきたArsenal Arsat C 80mm/F2.8や中望遠のArsenal Kaleinar 3B 150mm/F2.8も良いレンズでした。

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このMIR-24N 35mm F2.0、共産圏では大量に出回ったレンズのようで、75USDと言う安価な値段で手に入れました。
鏡胴のデザインは、LZOS工場製のVOLNA-9JUPITER-9同様、不愛想ですね。

レンズ構成を見ると、アルセナール工場のオリジナル設計のようです。
ソ連製のレンズって、Carl Zeissのコピーが多いんですが、このMIR-24はFlektogon 35mmとはかなり違うレンズ構成に見えます。

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レンズマウントは・・・ねじ込みのM42マウントに見えます。
でも、ニコンユーザーさんは、「あれ、Fマウントレンズの絞りレバーが見えるなあ」って思うでしょうね。^^;

そう、このMIR-24NのNは、元来Nikon Fマウント用だから”N”なんです。
ところがソ連ではM42のカメラの普及率が高かったので、M42用のマウントも同梱して売っていたようです。
レンズマウントのネジ3本外せば、ユーザーの好みでNikon FマウントでもM42マウントでも、どちらでも使えるんですね♪

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ポチリヌス菌が我家に運んできたMIR-24Nは、M42マウントでしたから、当然、Asahi Pentax SPIIにも装着できます。
ただし自動絞機構がありませんから、深く絞り込むと、ファインダーが真っ暗になります。^^;

また、これをデジタル一眼レフで使おうとすると、注意するべきポイントがあります。
自動絞の押しピンを押しっぱなしにするための当て板リングの付いたマウントアダプターはNGです。

当て板にNikon Fマウントの絞りレバーがぶつかり、最後までねじ込めません。
そのため、このMIR-24NをSONY α7IIで使う際には、押しピンの当て板の付いていない素通しのアダプターを使う必要があります。

実はこのMIR-24には、M42専用のモデル、MIR-24Mもありました。
こちらを作っていたのはKMZこと、倉科権助機械工場・・・じゃなかったクラスノゴルスク機械工場です。

マウントの違いのみならず、最短撮影距離やコーティング、解像力が違っていたようです。
ネットでのテストレポートを見る限り、うちに来た”N”タイプの方が”M"タイプより解像力は良いようです。

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このMIR-24Nの最短撮影距離は、0.24m・・・24cmまで寄れるレンズです。
ちなみにM42専用のMIR-24Mは30cmまでしか寄れないようです。
私は寄れるレンズが好きなので、希少で高価な24Mではなく、玉が豊富で安価な24Nを選びました♪
また、絞の開放F値はF2です・・・明るいです♪

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早速手持ちの35mmレンズとの比較実験をやってみることにしました。
まずは、私の大好きな「絞り開放」テストです・・・どの程度のシャープさか、ボケの大きさはどうかをチェックします。

MIR-24NとAi Nikkor 35mm F1.4Sの比較です。
さすがに絞りが一段違うと、ボケの大きさはかなり違いますね・・・Ai Nikkorの方が豪快にボケます。
ピント面のシャープさは、どちらも十分にシャープでした。

若干ですが、ミールの方が広い範囲が写ってるように思います。

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今度はMIR-24NとCarl Zeiss Jena MC Flektogon 2.4/35の比較です。
F2.0のミールに対し、フレクトゴンはF2.4・・・半段暗いです。
比較してみると、F値が示すようにミールの方がややボケが大きいです。
また、ボケの質を見ると、フレクトゴンはちょっと硬く、ミールの方が柔らかい感じです。

ただし、画角を見るとミールよりフレクトゴンは、やや狭目のように見えます。
つまり被写体が同じ大きさで写るようにすれば、ミールはさらにボケが大きくなるってことですね。
同じ35mmでも実際の画角は、ミール>ニッコール>フレクトゴンと、微妙に違いました。

ピント面のシャープネスは、どちらも優秀ですが、強いて言うならフレクトゴンの方がよりシャープに見えました。
まあ、開放F値が2.0と2.4と違いますから、当たり前なのかもしれませんが。

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今度は最短撮影距離(MFD, Minimum Focusing Distance)のチェックです。
ミールは24cm、ニッコールは30cm・・・実際に写してみるとかなり違いますね。
より近接能力の高いミールの方が、被写体が大きく写ります。

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ミールとフレクトゴンのMFDの比較ですが、フレクトゴンの圧勝でした。
フレクトゴンのMFDは公称20cmですが、もっと寄れちゃう感じです・・・こうなるともはや広角マクロですね。

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うちにやってきたMIR-24Nには、フィルターが3種類付いてきました。
レンズ保護用と思われる透明なUVフィルター、風景用のオレンジフィルター、ポートレート用の緑フィルターです。

どれもクラスノゴルスク機械工場”KMZ"の「プリズムに入る光線」マークがついてました。
ソ連製らしく、フィルター枠が太くてごついですねえ♪

こういう着色フィルターは、白黒フィルム写真でしか使いませんから、デジタル写真しか撮らない人には無用の長物です。
でも私はいまだに白黒フィルムが大好きで、月に最低一本は撮影して自家現像し、フィルム写真ブログも毎日更新しています。
このレンズで白黒フィルム写真を撮るとき、ぜひ使ってみようと思ってます。

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ソ連時代のレンズって、見た目は武骨で不愛想です。
LeicaやCarl Zeissのオールドレンズに比べると、本当にあかぬけないデザインです。

ソ連で造られた製品って、一貫したコンセプトがあるように思います。
「値段が安くてちゃんと仕事ができれば、見てくれなんかどうでもいい。」・・・あはは。
アサルトライフルのAK47とか大祖国戦争で使われた戦車T34とか攻撃機シュトルモヴィクIL2と同じ思想を感じます。

でもその潔さ、毎日酷使する道具としては正解じゃないでしょうか・・・
武骨で不愛想ですが、仕事はきっちり・・・ソ連製レンズ、写りは不思議に良いレンズが多いですね。

なお、このArsenal MC MIR-24N 35mm F2.0で撮ったデジタル写真は、下記のこのレンズのタグをクリックすると見られます。
またこちらをクリックしても、ご覧になれます。
このレンズで撮ったフィルム写真はこちらのリンク先に置いてあります。

愛知県みよし市三好ヶ丘にて

1~3枚目:
SONY SONY α7 II ILCE-7M2
Arsenal MC MIR-24N 35mm F2.0

4枚目以降:
LUMIX DMC-GX7MK2
Lumix G 42.5mm/F1.7 ASPH

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Commented by j-garden-hirasato at 2017-12-30 06:39
それぞれのレンズで、
個性があるんですね。
その個性をどう引き出すのかが、
楽しいんでしょう。
Commented by cobag2 at 2017-12-30 10:22
今年も今日明日を残すのみですね^^;
豊富な知識と的確なものの見方、巧みで多才な表現力・・・、全てを有り難うございました^^
特に多種多様な曲者?レンズとオールドレンズとの比較検証はいつも時間を忘れて拝読致しました。
その割には詠み逃げばっかりで申し訳ありませんが…(汗;)。
来るべき年が黒顔羊さんにとって素晴らしい年でありますように!
増々のご活躍とご健康を心より願っております^^
今年同様、来年もまたよろしくお願い申し上げます。
Commented by iwamoto at 2017-12-30 10:24 x
M16対AK-47、永遠のライバルですね。
カラシニコフの方が「過酷な状況で製作され得る」、ここが凄いです。
公差が大きいという弱点が強み。
ソ連時代の「もの造り」、それを机上の話でなくブツとして付き合ってみる・・・。
大人の趣味だねぇ〜、と感心してます。
Commented by getteng at 2017-12-30 13:24
blackfacesheep2さん
貴兄はどんな機材でも乗りこなせるような才能がおありのようです。
老生にはちんぷんかんぷんなことですが、凄いことですよ。
Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 16:21
j-garden-hirasatoさん、こんにちは。^^
レンズにも個性がありますね、これが面白くてポチリヌス菌中毒が治りません。
高価なレンズは手が出ませんが、安いけど個性豊かなレンズは、つい手が伸びます。^^;
Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 16:23
cobag2 さん、こんにちは。^^
きょうびのレンズはどれもよく写りますが、オールドレンズはそれぞれに個性が豊かで楽しいです。^^
今年もあとわずかですね、今年もたくさんうれしいコメントをいただきありがとうございました、来年もよろしくです♪
Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 16:31
iwamotoさん、こんにちは。^^
そう、ソ連製レンズは遊びが多いんですが、それでも最低限の精度が出るあたり、侮りがたいです。
大人の趣味かどうかはわかりませんが、ソ連のレンズは値段が安くてよく写るので、実用的だと思ってます。
Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 16:32
getteng さん、こんにちは。^^
いや~、場数はたくさん踏んできているので、古い機材ならたいてい使えます。^^v
でも新しい機材は逆に苦手ですね、マニュアルがないと使えません。^^;;;
Commented by small-talk at 2017-12-30 20:43
ネジを外すと、M42がFマウントに?
面白いですね。
ニコンのカメラに、装着してみましたか?
ただ、ちょっと怖い気もします。
スクリューマウントよりも、爪で固定するバヨネットの方が、ある意味、精度にシビアだから、固くて外せなくなるとか、なる可能性も無きにしもあらず、ですからね。

Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 20:59
small-talkさん、こんにちは。^^
うちに来た個体には、Fマウント用のジョイントが付属せず、M42専用になっておりました。
正規のパッケージにはM42とNikon F、2種類のマウントが同梱されており、ユーザーの好みでチョイスできるようです。
そっちを落札しても良かったのですけどね。
ちなみに、Fマウントだけの個体も安く出品されていますね。^^
Commented by small-talk at 2017-12-30 21:33
なるほど、付替え式なのですね。
フランジバックの差を利用して、M42の部品を外すと、Fマウントになるみたいな構造かと、勘違いしました。
資料をあたると、M42は45.5mmとFマウントは46.5mmと1mmしか違わないから、流石に無理でしょうね(笑)
Commented by blackfacesheep2 at 2017-12-30 21:49
small-talkさん、まいどです。
そうなんですよ、マウント面だけ付替え式になっております。
それにしてもNikon Fマウントってフランジバック、長いですね・・・レンズ遊びができません。^^;
ニコンの新しいミラーレス機は、フランジバックは詰めてくるでしょうけどね。
by blackfacesheep2 | 2017-12-30 05:00 | Hardware | Comments(12)