ポチリヌス菌が連れて来た親方カマトンカチ製ハーフマクロ
2017年 10月 19日
甘い香りを放つキンモクセイ・・・今年は例年よりちょっと遅めの10月10日に咲き始めました。
小っちゃな花なんですが、寄れるレンズで撮ってみました。
実はこれ、先日星ボケ写真を撮ったレンズの本来のお仕事なんです。
左のレンズがそれです・・・レンズの前面のリムにВолна-9と書いてあります。
キリル文字ですね、ロシアから来たM42マウントのオールドレンズでです。
ラテン文字に転写すると、"Volna-9"、フルネームを"LZOS MC Volna-9 50mm F2.8"と言います。
いわゆるハーフマクロと呼ばれるレンズで、等倍マクロほどは寄れないものの、小さなものをかっちりシャープに写すためのレンズです。
作られたのは1987年、まだロシアがソビエト連邦だった時代ですね。
ちなみに、ソ連製の撮影機器のシリアルナンバーは、最初の二桁が西暦の下二桁となっています。
つまり、87xxxxと書いてあったら、1987年製造ってことになります。
私がかつて使っていた、折り畳み式蛇腹カメラのモスクワ5型(Moskva 5)は、そのS/Nから判断すると1958年製造でしたね。
製造したのはモスクワの近くのリトカリノ市に所在するLZOSです。
LZOSとは、ロシア語のキリル文字"Лыткаринский Завод Оптического Стекла"をラテン文字表記した"Lytkarinskiy Zavod Opticheskogo Stekla"の頭文字で、リトカリノ光学ガラス工場という意味だそうです。
ちなみにソ連時代はすべて国営企業ですから、このレンズも親方カマトンカチ製ってことになります。
このVOLNA-9、eBayで「ほとんど新品、工場でのデッドストック」と書いてありました。
まあロシアからの出品者の記述は話半分に理解しておかなければなりませんが、まずまずきれいな個体がやってきました。
トリセツが、いかにも「共産圏でござい」って感じの素朴なものだったのには、笑えました。
このハーフマクロの実力をチェックするために、最短撮影距離で腕時計を撮ってみました。
これは日本を代表する時計会社、SEIKOの海外輸出用自動巻き時計の「セイコー・ファイブ」ですね。
いまだに銀塩フィルムカメラも使っている私は、こういうメカニカルウォッチが大好きです♪
コインにも最短撮影距離で寄ってみました。
左隅に500円玉がありますので、イメージが使い見やすいと思います。
雨に濡れるキンモクセイ、最短撮影距離です。
ハーフマクロでも結構大きく撮れるので、等倍にするための中間リングはほとんど不要ですね、私の場合。
このVOLNA-9の絞羽根です・・・F5.6~F8あたりでこういう面妖な形状になります。
なんでこんな設計にしたのか、理解に苦しみます。
ちなみに、絞羽根にはそれなりに油滲みがありますが、親方カマトンカチ製のレンズにはよく見られます。
なんせ極低温での使用もあり得るお国柄なので、とんでもない量のグリスが使われているんだそうで、それが滲むらしいです。
そのため機械油の匂いがする、とも言われているんですが、うちのVolna-9は無臭です。^^;
なお、このレンズには自動絞機構は搭載されていませんが、ミラーレス機で使うなら無問題ですね。
でも、この面妖な絞り形状のおかげで、見事な星ボケ写真が撮れるんですけどね♪
星ボケの大きさを大きくするために、今度はマイクロフォーサーズ機に装着して撮ってみようかな♪
VOLNA-9のマクロ能力の比較です。
ハーフマクロを標榜するVolna-9はのMFD( Minimum Focusing Distance、最短撮影距離)は24cm、寄れますねえ。
Ai Nikkor 50mm/F1.8SのMFDは45cmで、50mmレンズとしてはごく標準的です。
どうせなら、ついでなら、と言うことで他の50mmレンズでもチェックしてみました。
左は寄れることで定評のあるCarl Zeiss Jena Pancolar 1.8/50で、35cmのMFDです・・・まあまあ寄れますね。
右はマイクロフォーサーズ用の25mm、MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95です。
一般的に、フルフレーム機に比べるとマイクロフォーサーズ機のレンズは寄れるものが多いですね。
にじり寄るのが好きな人、室内撮影が好きな人は、フルフレーム機よりマイクロフォーサーズ機の方が使いやすいと思います。^^
このVolna-9、50mmと言う標準画角で寄れるのが楽しいレンズです。
等倍マクロレンズのM.ZUIKO 60mm/F2.8 Macroも持っていますが、あれは画角が35mm換算で120mmとかなり狭いんですね。
周りの雰囲気を活かしながら使うには、このVOLNA-9の標準画角の方が使いやすいです。
ポチリヌス菌による右手人差し指痙攣症候群の発作で、ついついeBayで落としてしまったハーフマクロ、なかなか重宝しそうです。
それにしても・・・早くイルミネーションの季節にならんかな~、星ボケ撮りたいですからねえ、うひひひ♪
なお、このLZOS MC Volna-9 50mm F2.8で撮ったデジタル写真は、下記のタグをクリックするかこちらをクリックしてください。
愛知県みよし市三好ケ丘にて
SONY α7 II ILCE-7M2
LZOS MC Volna-9 50mm F2.8
Lumix GM5 & M.ZUIKO 60mm/F2.8 Macro (2,3,11枚目)
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1958年の製造ということですが、
半世紀以上も前ですか。
キレイな状態ですね。
面白ーい。
「カメラ」って趣味は知らなかったけれど、お金を食う趣味ですよね。ほしいレンズが軒並み5万円以上します。主婦には痛い。VOLNA-9のボケ具合が美味しそう
妙が等倍にする必要の無いそのサイズ感にいかんなく発揮されてるかと思います。
いかにも面妖なレンズ・・・笑
eBay、侮るべからずと言ったところでしょうか^^;
あ、あまりポチリ菌に冒されませぬように(笑)
私も感染しそうです。
毎日雨ばかり、ほんとうに嫌になってしまいますね。
今日のブログ記事、興味深く読ませていただきました。
レンズひとつでこんなに接写ができ、お写真も綺麗に
写るんですね。セイコー・ファイブ、憧れの時計が飛
び出してきそうにくっきり写っています。本当に綺麗
です。星ボケ写真、良いですねえ。クリスマスが近づ
いたら、また宜しくお願いします。楽しみにしています。
1958年の製造はかつて使っていたMOSKVA 5と言う蛇腹カメラで、このレンズは1987年製造、比較的新しいです。
昔のカメラは古くても使い物になりますね、私のRolleiflex 2.8Cは私より年上ですが、いまだに現役です♪
eBayで買えば安いですよ、このVolna-9は115USDでした。
アダプタをかませばマイクロフォーサーズ機でも使えるし、それを入れても、15,000円でお釣りが来ますぜ。^^v
MF時代は、等倍マクロってほとんどなくて、ハーフマクロばかりだったような・・・
私は報酬がドル建てでPaypal経由で入ってくるので、eBayとは相性が良いんですわ。^^
このレンズは安い割には使えるレンズですね、フルフレーム機で使えるマクロがなかったので便利です。
セイコー・ファイブはいまだに現行製品が売ってるんですよね、しかも1万円以下と、とてもお値打ちです♪
HNは何人かのブロガーさんのコメント欄で拝見させていただいております。
旧・共産圏の撮影機材は、合理的ではない不思議な設計になっているものが多いですね。
でも、その個性が楽しいのでつい欲しくなってしまいました。
これからもよろしくお願いしますね。^^