2017年 11月 18日

ポチリヌス菌が里帰りさせた富岡家の兄弟

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「お~、久しぶりだねえ、元気にしてた~?」
「ずーっとアメリカだったんだってねえ、まだ日本語はわかる?」
「まずはお寿司食べたいよねえ、あ、すき焼きかな、てんぷらかな、それとも親子丼?」

などなどと、ベアさんたちが一つのレンズの周りに集まって、賑やかに話しております。
実はこのレンズ、約50年前にアメリカに向けて旅立ち、久しぶりに日本に帰って来た”Made in Japan"のレンズなんです。
最近、私のブログで活躍するようになりました♪


d0353489_17381062.jpgこのレンズは、AUTO SEARS 55mm/f1.4と言い、1960年代末期に作られたM42マウントのレンズです。

”SEARS"と言うのは、米国の百貨店ですが、かつてはカタログによる通信販売会社シアーズ・ローバック(Sears, Roebuck and Company )として有名でした。

シアーズのカタログには、衣料品から時計やアクセサリー、日用品から自動車、住宅なども網羅されており、「消費者の聖書」と呼ばれたそうです。

もちろんカメラやレンズもラインアップされており、いろいろなメーカーからOEMで調達していたようです。

このAUTO SEARS 55mm/f1.4には、”Made in Japan"の刻印がありますが、日本のどこのメーカーが作っていたのかと言えば・・・富岡光学なんだそうです。

富岡光学とは、日本光学(Nikon)に勤務していた富岡正重氏が戦前にニコンから独立して作り上げた光学機器会社で、1960年頃より35mm一眼レフ用レンズを手掛け始めました。

1968年にはレンズ供給先のヤシカ資本傘下へ入り、1972年にはCONTAXブランド一眼レフ用のCarl Zeiss銘のレンズ群、通称「ヤシコン(Yashica Contax)を製造したことで有名になりました。

さて、AUTO SEARS 55mm/f1.4の富岡光学でのオリジナルは、AUTO TOMINON 55mm/f1.4です。

このAUTO TOMINONは、リコーにもAUTO RIKENON 55mm/F1.4として供給されました。

リコーはRICOH SINGLEXを米国のシアーズにOEM輸出しましたが、その際には上記のAUTO RKENONがAUTO SEARS 55mm/F1.4として装着されました。




d0353489_17384588.jpgAUTO SEARS 55mm/F1.4、外観はAUTO RIKENONとそっくりです・・・同じ富岡光学製ですもんね。

この富岡光学製55mm/F1.4は世界中の様々なカメラ販売会社にOEMで提供され、世界中に兄弟がたくさんいるようです。
代表的なものだけでも、下記のとおりです。

・AUTO TOMINON 55mm/f1.4(原型)

・AUTO CHINON 55mm/f1.4

・COSINON AUTO 55mm/f1.4

・AUTO RIKENON 55mm/f1.4

・AUTO SEKOR 55mm/f1.4

・AUTO REVUENON 55mm/f1.4

・AUTO SEARS 55mm/f1.4

・PORST COLOR-REFLEX AUTO 55mm/f1.4

・SUPER CERENAR 55mm/f1.4

富岡光学製かどうかを判断する基準の一つに、「右インフの右開放」と呼ばれる構造があります。

カメラを構えて、ヘリコイドの右側に無限大、絞環の右側に絞開放、というレンズの回転方向のことですね。

そういや、うちにある実母不明のOEMレンズ、Porst Tele 135mm F1.8 MCも「右インフの右開放」ですねえ(^^♪

Hanimex 28mm / F2.8 MCも「「右インフの右開放」ですが、どうやらこれはSMC Pentax-M 28mm/F2.8のOEMの可能性もありそうです。


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さて、55mmのレンズが3本になったので、比較をやってみました。
左がAUTO SEARS 55mm/f1.4、右が以前から所有しているAi Nikkor 55mm/f1.2です。
う~ん・・・違うような違わないような・・・^^;

でもボケ玉の大きさをしっかりチェックしてみると、F値の1/3段の違いは確かにあるように見えます。
やはりF1.2はそれなりに大ボケする、と言えそうです。
コントラストは、AUTO SEARSの方が軟調系でしょうか。

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私の初恋レンズ、SMC Takumar 55mm/F1.8とも比較してみました。
う~ん、同じ55mmでも、若干画角が違いますね・・・SMC Takumarの方が狭い感じです。
やや望遠よりで、焦点距離は60mmに近い感じです。

ボケ玉はAUTO SEARSの方がハードエッジで、ちょっとうるさい感じかな。
SMC Takumarの方が望遠寄りなので、F1.8とF1.4の2/3段の違いにもかかわらず、ボケの大きさはどちらのレンズも同じぐらいに見えます。

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SMC Takumar 55mmの方が画角が狭いので、少々三脚を引き、同じ範囲が写るようにして比較してみました。
こうしてみると・・・F値なりかな、2/3段の差は感じられますね。
やはりF1.8のSMC Takumarの方が、F1.4のAUTO SEARSよりボケ玉が小さめに見えます。

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この3つのレンズ、F値に比例してサイズが異なります。
左上のコンパクトなレンズが、SMC Takumar 55mm/F1.8、真ん中がAUTO SEARS 55mm/F1.4、右上の大きなレンズがAi Nikkor 55mm/F1.2です。
やはり大口径レンズって、大きくなっちゃうんですね。
ボケを優先するか、機動性を優勢するか・・・そのときの気分でレンズ選択をしようと思っています。^^

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さて、上の写真はAi Nikkor 50mm/F1.8SとAi Nikkor 55mm/F1.2のボケ方の違いです。
F1.8とF1.2・・・やはり一段違うと、ボケの大きさもはっきり違って見えます。

もちろん画角で5mm違うので、望遠寄りの55mm/F1.2の方がボケでは有利なんですけどね。
でもNikonの場合、55mmと50mmの画角はあまり変わりませんね。

やはりボケの大きさがはっきりと違うとわかるためには、絞一段分ぐらいの違いが必要なのかも。
F1.8とF1.4・・・2/3段の違いでは、ボケの大きさの違いはあまりよくわかりません。^^;
これ、かつてマイクロフォーサーズ機の標準レンズ、F1.8とF1.4の比較テストでも検証しましたけどね。^^

絞2/3段の違い・・・これはAPS-C機とマイクロフォーサーズ機の違いでもありますね。^^
センサーサイズの差から、「マイクロフォーサーズ機はAPS-C機よりボケない」とよく言われていますが、この程度なんですよ。

実際に検証してみたこともあります。
マイクロフォーサーズ機とAPS-C機、ボケの大きさに関してはほとんど差異がありませんでした。
それゆえ、カメラもレンズも軽量コンパクトなマイクロフォーサーズ・システムの方が私は好きなんであります♪

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さて、AUTO SEARS 55mm/F1.4で撮った写真を、もう少し貼っておきます。
F1.4の絞り開放で撮ると、時としてこんな感じの不思議なボケになるときがあります。
まるでペインティングナイフで描いた油絵のような感じ・・・これが富岡製レンズの魔性なんでしょうか。^^

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こちらは真っ赤なテディベアさんと薔薇のコラボレーション・・・寒くなって来たので、こういう色味が心地よいです♪
AUTO SEARS 55mm/F1.4、トーンがレトロで柔らかいので、こういう室内写真には向くような気がします。

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シングルコーティングですから逆光には強いとは言えません・・・太陽に向けると、しっかりとゴーストが出ますね。^^;
でも、こういう昔ながらのゴーストって、作画に活かしやすいので、嫌いじゃありません。
また6枚絞りのレンズなので、六角形のサンスターが出ますね。

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このAUTO SEARS 55mm/f1.4も、eBayに巣食っているポチリヌス菌が、米国のフロリダから運んで来てくれました。
落札価格は89.95USDでした・・・富岡光学製の55mm/F1.4兄弟の中でも、あまり有名じゃないからこその格安値段ですね。
ほとんど未使用状態の”NEAR MINT"ですから、運賃を入れてもお値打ちだったと思います。

今までM42マウント用の標準レンズはF1.8までしか持っていませんでしたが、F1.4もやってきてしまいました。
もうレンズを集めるのは止めようと思っています・・・止められるかなあ。^^;
すべてポチリヌス菌の思し召し次第です・・・(;'∀')

なお、このAUTO SEARS (TOMIOKA) 55mm/f1.4で撮ったデジタル写真は、下記のタグをクリックするかこちらをクリックしてください。
また、フィルムで撮った写真はこちらにあります。

愛知県豊田市 鞍ヶ池公園にて
SONY α7 II ILCE-7M2
LZOS MC Volna-9 50mm F2.8
AUTO SEARS (TOMIOKA) 55mm/f1.4

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by blackfacesheep2 | 2017-11-18 05:00 | Hardware | Comments(20)
Commented by getteng at 2017-11-18 06:43
blackfacesheep2さん
専門書が書けるくらいにお詳しいですね。
今朝は今季一の寒さで、雨の予報、洗濯(担当?)するか否か迷っております。
Commented by gaku0107boo at 2017-11-18 07:32
おはようございます!
おぉ~!富岡レンズ!
ポチリヌス菌には時として富岡菌やM42菌も混ざってきますからご注意くださいませ。(笑)
ワタクシのところにも何本か富岡レンズがありますが、
ネットでの情報以外にも分解清掃時に富岡の特徴を見ることが出来ます。
意外なレンズにも富岡が顔を覗かせることがあり、富岡はレンズ業界の陰の主役だったと思われます。
・・・すうかり富岡菌保持者のワタクシ・・・。(大汗)
Commented by border72 at 2017-11-18 08:42
富岡光学!
私は一本も所有してませんが、こんなにたくさんの兄弟がいるんですね。
で、「右インフの右開放」でわかる?いいこと聞きました。(笑)
Commented by iwamoto at 2017-11-18 09:01 x
See me, feel me, touch me, heal me

当然、お宅ではトミーと呼んでますよね。
シアーズで買ったツールキャビネット、40年使ってます。
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 09:21
gettengさん、こんにちは。^^
あはは、こういう古いレンズにはまると、もう廃人の世界ですね。^^;
そうそう、今日は寒い雨降りになりました・・・おうちであったかく、ゆっくりしていようと思っています。
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 09:22
岳の父ちゃん、こんにちは。^^
富岡菌やM42菌は結構、しつこいですよねえ、これでもか、と誘ってきますからねえ。^^;
富岡のレンズ、個性が豊かです・・・このAuto Sears 55mmは使っていて楽しいレンズですね♪
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 09:24
border72さん、こんにちは。^^
富岡光学はいろんなOEMをやってましたから、意外なところに兄弟がいるんですね。
「右インフの右開放」じゃない富岡もあるんだそうです・・・今となっては真実は神のみぞ知る世界なのかも。^^;
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 09:27
iwamotoさん、こんにちは。^^
おお、The Whoのアレですね、とっても懐かしいです。
シアーズで売っていた製品って、通販のネガティブさを打ち消すために、信頼性重視で頑丈なものが多いそうですね。
Commented by voyagers-x at 2017-11-18 10:26
おはようございます ! !
日本製、やっぱり安心感がありますね ^^;
しかも富岡光学、素晴らしい
作例を見ると、ピントのあった部分が結構シャープでキレがありそうですね
逆光の空に向かっての撮影に出てくるゴースト
このような写真大好きです
太陽の光の眩しさ表現にバッチリですね

Commented by yuphotobook at 2017-11-18 11:20
同じ種類のレンズでも会社が違えばテイストが違う!!目から鱗です。SMC Takumarの方が好きかなぁ
マイクローフォーサーズから冒険していないので気になるなぁ
Commented by aitoyuuki32 at 2017-11-18 11:29
標準レンズ、増殖中ですね
そろそろ菌に対するワクチンが必要でしょうか

楽しく見させていただいている
我々としては菌は退治してもらいたくないな~(^_^)v
Commented by hoshigaoka at 2017-11-18 15:56 x
こんにちは!

おめでとうございます!
新たに富岡製のレンズを購入されましたか。
富岡のレンズって絵画のようなボケ感で素敵ですもんね♪
兄弟が揃ったところでレンズ収集は一休みされますか?
また違った沼が現れるような気もしなくもありません(爆
Commented by ichizo88 at 2017-11-18 17:37
昔のレンズはデータに表せない魅力がありますね。
里帰りして使ってもらえるなんて思ってもいなかったでしょうね。
Xyloさんいわく、腹に巻いて寝なければ大丈夫な
トリウムレンズだったりするんでしょうか^^?
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 19:50
voyagers-xさん、こんにちは。^^
富岡光学はさまざまなOEMをこなしていただけあって、良いレンズを作りますよね。^^
逆光のゴーストやフレア、出て欲しくない時もありますが、出ないと寂しかったりもします。^^;
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 19:52
yuphotobookさん、こんにちは。^^
レンズって絞り開放で使うと、それぞれの個性がよく出ますね。^^
SMC Takumar 55mm/F1.8、マイクローフォーサーズ用のアダプターを買えばGF7でも使えます。合計1万円以下ね。^^
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 20:02
愛と勇気さん、こんにちは。^^
あはは~、標準レンズって安くてしかも変化に富んでいるから、ついつい集めちゃいますねえ。
ポチリヌス菌、私のは100ドルまでしか反応しないので、安心ではありますけどね。^^;
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 20:03
hoshigaoka さん、こんにちは。^^
富岡光学の大口径レンズのボケって、ハードエッジで独特の個性がありますよね。^^
M42の沼は、深くて広いです・・・日本のみならず、ドイツやソ連、フランスまで広がってますからね、うひひひ。^^;
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 20:07
ichizo88さん、こんにちは。^^
オールドレンズはそれぞれ個性があって楽しいですね、集めるつもりはなくても、気がつくと集まってます。^^;
富岡製の一部には、真っ黄色に焼けてるのもあるようですが、うちのAuto Sears 55mmは綺麗ですね。
Commented by TetsuoIchikawa at 2017-11-18 21:14 x
α7ⅡのReviewが面白かったので、こちらまでお邪魔しました。
カメラの楽しみ方、伝えた方が上手ですね。勉強になりました。
Commented by blackfacesheep2 at 2017-11-18 21:43
TetsuoIchikawaさん、いらっしゃいませ。
おお、価格.COMのα7ⅡのReviewをお読みになってくださいましたか、ありがとうございます。
SONYα7II、面白いカメラですね、8月に購入して以来、ほとんどの写真はこれで撮っております。
また遊びに来てくださいね~♪


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