マイクロフォーサーズ25mmレンズ比較 F1.4 vs F0.95(写真部門)
2017年 01月 27日
「真冬に咲く花は貴重だねえ・・・」
と、ヒースの花を愛でる相方謹製のリバティ・プリントの手縫いテディベアさんです。
「ヒースって英国だと夏に咲くけど、日本だと真冬の花だね。」ともう一匹のリバティプリントのベアさんが言っております。
ヒースは、日本ではエリカと呼ばれることが多いようですね。
エリカちゃんだと、とっても可愛らしい感じですが、ヒースと言えばHeathcliffを思い出します。
エミリー・ブロンテの「嵐が丘」に出てくるヒースクリフ、くら~い復讐者です・・・英国ヨークシャーの荒地のイメージです。^^;
さてベアさんたち、今度はヒースじゃなくてレンズを見ておりますね。
はい、私が所有しているマイクロフォーサーズの25mmレンズを並べてみました。
左からLeica DG Summilux 25mm/F1.4、MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8です。
サイズ・重量は下記のようになっています。
- DG Summilux 25mm/F1.4: フィルター径:46mm、全長 : 54.5mm、 直径 : Φ63mm、 質量 : 約200g
- MITAKON ZHONG YI 25mm/F0.95: フィルター径:43mm、 全長 : 55mm、 直径 : Φ54mm、 質量 : 約230g
- M.ZUIKO 25mm/F1.8: フィルター径:46mm、 全長 : 42mm、 直径 : Φ57.8mm、 質量 : 約137g
Leica DG Summilux 25mm/F1.4は、旧ブログの「味わい深きドイツレンズ」と言うエントリで、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8との比較レビューをやりました。
もう更新のないブログの旧エントリですが、いまだに閲覧数が多いのに驚かされます。
マイクロフォーサーズで25㎜と言えば万能画角の標準レンズなので、比較検討している人も多いんでしょうか。
MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95、昨年末に「幻惑の中華妖玉」と言うレビューを書いております。
電子接点のないMF専用レンズですが、F0.95の開放F値による浅い被写界深度がウリで、フルフレーム機の50mm/F1.9と同じ被写界深度です。
ちなみに最初のカットはMITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95で撮り、2枚目はLeica DG Summilux 25mm/F1.4での撮影でした。
Leica DG Summilux 25mm/F1.4
MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95
Comparison Review
今回は、Leica DG Summilux 25mm/F1.4と、MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95の比較レビューです。
ガチな比較レビューです・・・映画なら、『厳冬の25mm対決 ゲルマン神獣カイラ vs 中華妖獣ミタゴン』って感じのタイトルになりそうです。^^;
昭和の怪獣ブームの頃に少年期を過ごしたオッサンならではの発想かなあ。
そう言えばドイツのレンズって怪獣系の名前が多いです・・・フレクトゴン、ディスタゴン、ビオゴン、アンギュロン、ズミクロン。^^
今回の比較試験は、ボケの比較がメインです。
まずは室内写真から・・・
Leica DG SummiluxはF1.4、MITAKON ZHONG YIはF0.95・・・この400x600の小さな画面でも被写界深度の違いがわかります。
さすがF0.95、MITAKON ZHONG YIのボケは大きいです。
フルフレーム機に換算すると、50mm/F2.8 vs 50mm/F1.9 ですから、違いははっきりしてます。
かつてM.ZUIKO F1.8とLeica DG Summiluxを比較したときは、このサイズではボケの差はあまりよくわかりませんでした。
もう一つ、室内写真での比較です。
やはりMITAKON ZHONG YIの方がボケが大きいです・・・後ろのピンクベアがより茫洋とした雰囲気になってます。
また、MITAKON ZHONG YIの方が暖色系で、発色が濃厚ですね。
近所の愛知牧場に出かけて、屋外での比較撮影をしてみました。
背景の廃トラや枯れ枝の描写を見ると、MITAKON ZHONG YIの方が茫洋としてますね。
また、ここでもMITAKON ZHONG YIはより暖色系になってます・・・ガラスの色の違いなんでしょうか。
ちなみに、Adobe Lightroomで現像する際に色温度は同じにしています。
その他の撮影諸元はISO100でF1.4と1/4000、そしてF0.95と1/8000です・・・ほぼ同じ露出です。
逆光気味の撮影で絞り開放、ボケとフレアの実験です。
太陽は左上前方、フレームの外にあります・・・半逆光の状況であえてフードを付けないで撮ってみました。
ニュージーランドのフォトグラファー、Richard Wongさんのレビューでは、「ミタコン25mmのフレア耐性は、ニコンのナノクリスタルコーティングレンズなどに比べたら良いとは言えない。」と書かれています。
さらに「光源がレンズの側面から来ているときにフレアは最も顕著」と書かれていました。
実際に撮影実験をしてみましたが、この程度でした・・・一般的な使い方であれば無問題のようです。
また、MITAKON ZHONG YIのボケはやはり大きいです。
ほぼ実物大の彫刻を使って、ポートレート撮影的な比較です。
後ろのクスノキの葉のボケ方が違いますね。
MITAKON ZHONG YIで撮った写真のボケの方が大きいんですが、少々ざわざわとしたボケになる傾向があります。
上の写真(3456 x 5184)から任意の部分を400 x 600で等倍にて切り出して比較してみました。
MITAKON ZHONG YIの方がボケは大きく、ボケのエッジがはっきりしていますね。
輝度差が激しい被写体を撮ると、このハードエッジなボケが強く出るので、背景がざわつくということなんでしょうね。
曇天下のカットにはこのハードエッジなボケが出ないので、おだやかな描写になっています。
さて、本を置いて絞り開放で撮ってみました。
後ボケ・前ボケはそれぞれのF値にふさわしくボケていますが、問題は絞開放時の解像力です。
これじゃ字が小さくてわからない・・・じゃあ、下に400 x 600の等倍原寸切り出しで比較してみましょう。
ううむ、どちらもシャープネスは似たような感じです・・・絞開放のわりには十分に解像しているように思います。
MITAKON ZHONG YI、絞の開放F値が1段以上明るいのに、なかなか健闘しています。
また、同じ色温度で撮っているにもかかわらず、DG Summiluxは寒色系、MITAKON ZHONG YIは暖色系です。
Richard Wongさんのレビューにも下記のような記述がありましたが、私も同感です。
「f/0.95で、すでにMitakonの中央部のシャープネスは極めて良好だ。ほとんどの状況で十分にシャープに写ると断言できる。Voigtlander Nokton 25mm/F0.95に比べると、F0.95ではMitakonの方がシャープだ。F1.4になると、Leica DG Summilux 25mm/F1.4と同等にシャープか、よりシャープですらある。」
ところで、撮影して気が付いたことがあります・・・MITAKON ZHONG YIの方が、暗く写るんですね。
上のボケ比較では、あまり明るさが影響しないのでほぼ同じ明るさになるように補正してありますが、こちらの写真はありのままです。
この2本のレンズ、絞りがほぼ一段違うので、シャッター速度も一段ずつ変えて撮っています・・・マニュアル露出です。
例えばこの写真、DG SummiluxはF1.4で1/20秒、MITAKON ZHONG YIはF0.95で1/40秒です。
F1.0より明るいですから、Mitakonの方が明るく写らなければならないと思いますが、実際にはやや暗めです。
これはどうしてなのか・・・MITAKON ZHONG YIがF0.95ではなくF1.05ぐらいなのか、DG SummiluxがF1.3ぐらいなのか。^^;
でもよく調べてみると、F値は理論値なんです・・・レンズの焦点距離を有効口径で割った値です。
Richard Wongさんのレビューでは、「ミタコン25mは本当に f/0.95なのかどうか、Zhongyiに質問したら、技術ディレクターは本当にf/0.95だと言った。」と書かれていますので、まずこれは間違いないでしょう。
実際の光学系の明るさは、F値ではなくT値で表現されるらしいです。
T値はレンズの透過率や枚数に影響され、コーティングが優秀でレンズ枚数が少ないほどT値がよくなるんだとか。
パナライカのナノサーフェスコーティングが優秀だ、というのはよく聞く話です。
それに引き換え、MITAKON ZHONG YIのコーティングは凡庸で、フードなしで使おうとは思いません。
なるほど・・・明るさの違いは、レンズのコーティングの差なのかもしれません。^^
また、MITAKON ZHONG YIの方が周辺減光が多いので、暗く見えるというのもあるかもしれません。
DG Summiluxだって周辺減光はあると思いますが、ミラーレス用のレンズなので電子補正されてるでしょうからね。
MITAKON ZHONG YIは電子接点がないですから、当然、カメラ本体による歪曲補正もないはずです。
使いながらなんとなく樽型の歪曲があることは感じてましたので、比較してみました。
DG Summiluxはしっかり電子補正されている感じですが、MITAKON ZHONG YIは案の定、樽型歪曲がありました。
でも、この程度です・・・被写体によっては無補正で使えるレベルです。
建物写真などを撮った際に気になるときは、Adobe Lightroomのレンズ補正の「手動・ゆがみ」で、+7程度の弱い歪曲補正をかけてやれば完璧です。
単焦点大口径レンズは樽型歪曲が出やすいようで、私の持っているAi Nikkor 55mm/F1.2やAi Nikkor 35mm/F1.4Sもタルタルです。
また、撮影範囲が若干違います・・・DG Summiluxの方がほんの少し広いです。
かつてDG SummiluxとM.Zuiko 25mm/F1.8と比較したときは、M.Zuikoの方がやや広めでした。
こうしてみると、同じ25mmレンズでも、撮影範囲が違うのがよくわかります。
MITAKON ZHONG YI < DG Summilux < M.Zuiko 25mm/F1.8です。
厳冬の25mm対決、ゲルマン神獣「カイラ」vs 中華妖獣「ミタゴン」、この対決の印象はこんな感じです。
MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95の方が・・・
●絞り開放では被写界深度が浅い・・・フルフレーム機換算50m/F1.9なので、m4/3としてはかなりの浮遊感を味わえます。
●ボケのカタチがハードエッジなので、被写体によって、ボケがざわつく傾向がある。
●色乗りが暖色系かつ濃厚。コントラストが強いからか?
●ほんの少し画角が狭い。
●やや暗めに写る。
●樽型歪曲が目立つ。
●外形サイズがコンパクトだが重い。
●ブランドイメージは未知数・・・中華ブランドと言うだけで拒否反応を起こす人もいます。
Leica DG Summilux 25mm/F1.4の方が・・・
●ボケのカタチが柔らかく、輝度差の大きな被写体でもざわざわしたボケが出にくい。
●コントラストはゆるめ。
●重量が軽いが外形サイズは大きい。
●ブランドイメージが良い・・・パナライカではありますが、「おライカさま」です。
なお、どちらも絞開放から十分にシャープです。
さらに絞るにつれてどちらもカリカリにシャープになり、F4ぐらいまで絞れば文句のないウルトラシャープなレンズとなります。
そう、開放のボケも楽しめるし、シャープなパンフォーカス写真も楽しめる・・・どちらもツンデレ・レンズすね。^^
かつて、Leica DG Summilux 25mm/F1.4と、M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8との比較レビューをやったときに、前者は「不良の魅力」、後者は「優等生」と書きました。
でも癖の強さで言えば、MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95はさらに強烈です。
MFレンズだし、誰にでも使えるレンズではないと思いますが、このレンズでしか味わえない描写もあります。
この中華妖獣「ミタゴン」を使うと、ゲルマン神獣「カイラ」ですら、優等生に見えてきます♪
癖はあるけど、使っていて楽しいレンズです。^^
この比較レビュー、いかがでしたでしょうか。
ゲルマン神獣「カイラ」の必殺技はオートフォーカスの利便性、中華妖獣「ミタゴン」の必殺技は、浅い被写界深度。
どちらも必殺技を持っていますので、それぞれの特徴を生かして使い分けていこうと思っています♪
愛知県みよし市三好ヶ丘、愛知県日進市愛知牧場にて
LUMIX DMC-GX8
MITAKON ZHONG YI Speedmaster 25mm f/0.95
Leica DG Summilux 25mm/F1.4
LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH (3枚目のみ)
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第一回プラチナブロガーコンテスト
レンズで写り方に違いがあるものですね。
ここまで考えてカメラとかレンズを
買っていませんでした。
未だにメーカー重視です。
頭が下がります。
もともと好奇心が旺盛なので、こういう比較実験は大好きなんですよ。^^
もちろんメーカー重視で選んで何の問題もありません、Mitakon Zhong Yiは廃人しか使わないかも。^^;
愚生も比較できるほどいろんな種類のレンズがほしいところですが、無精者にとっては・・・。
これは知りませんでした。^^;
ヒースといえば、スコットランドとか北ヨークシャーなどのムーアを思い出しました。
さすがカメラの達人ですね、 blackfacesheepさんは!
私はZHONG YIのほうが好きです。
広東語で「好き」は「チョンイー」ですよ!^^
「A+」を付けておきましょう。
光量が適正なときには破綻のない描写であっても、
限界を超えると違った側面が出たりしますよね。
某コメットハンターから見せてもらった写真は、まさにレンズのテストみたいでした。
暖かくなるというのに雲が取れず、ヒースクリフの名まで出されては芯まで冷えてきました。
色のりは、レンズの材質やコーティングの差でしょうか?
私は暖色系が好みなので、中華妖獣ミタゴンに1票!
サンダ対ガイラ的エントリ、今後も楽しみにしてます^^。
DG Summilux 25mmはとても優秀なレンズなんですが、それに負けず劣らずMitakon Zhong Yiも良くて驚きました。^^
あはは、ゴジラ、モスラなどの怪獣系の名前にするため、ライカはひっくり返してみましたよ。^^;
そうですね、HeathとかHeatherって言えば、ブリテン島でも北の方のイメージですよね。
広東語、昔、映画でよく覚えましたよ、「やーもうがうちょあー」とか「だっらー」とか。^^;
お~、エープラをいただけましたか、ありがとうございます~、こういうのは一生懸命書くのに仕事は・・・^^;
ヒースクリフ・・・冷えますよねえ、あの性格はないなあ、めっちゃ暗いです。
中華妖獣ミタゴンは、あまりカメラ雑誌やネット上にレビューが出てないので、人柱になってレビューを書きました。^^
わはは、サンダ対ガイラ・・・そうそう、我々の年代ならフランケンシュタインと言えばコレですよね。^^;
実に悩ましいですね
以前はノクチのボケをとろけるようなボケと素敵に思っていました
最近はボケの背景の中にも世界がある、つまりボケた背景が少し見える方が
写真として面白いのではと思うようになったのです
うーん.......
ボケを使い分けるのがいいのかな
開放値は0.95で少し背景を見せたい時は1.4くらいで撮影みたいな.......
大口径レンズは、絞ればいろいろな表現ができるので、より表現力が高いレンズと言えそうですね。^^
このMitakon Zhong Yiは、SONYα用にフルフレームの50㎜/F0.95も作ってますが、ノクチルクスの1/10の値段ですね。^^;
ヒースはこちらでもエリカと呼んでいます。
ハノーファーの近くにリューネブルガーハイデと呼ばれるエリカが広域に咲くので有名な場所があるのですよ。
そちらでは冬に咲くのですね。こちらのエリカは8月上旬に咲き、その時分には観光客が集まります。
車の乗り入れは禁止されてるので、馬車か徒歩で行けるようになってるらしいです。
ちなみにエリカ街道というのがあるそうです。
いえいえ、鋭いご意見ありがとうございます・・・ドイツではエリカって言いますよね、エリカ街道、聞いたことあります。^^
リューネブルガーハイデも名前は聞いたことがあります・・・北ドイツは、将来ぜひ旅行してみたい場所ですね♪
Leica DG Summilux 25mm/F1.4を持っているので、
レビューを興味深く拝見しました。(^^)
f0.95の被写界深度の浅さには、憧れを感じているのですが、
同じ画角のレンズを2本持つ勇気がありません。
オートフォーカスの利便性と、浅い被写界深度の特性、
それぞれの特性を生かして使いわけて行こうと思われているところが、
凄いなぁ~と、思いました。(^^)
レンズワークを上手に楽しんでいらっしゃるのですね。(^^)
いや~、アイボクまで行ってされてたのですね~!凄いです!
色乗り、コントラストは、お来夏さまの方が良さそうに見えますね。
でも、ミタゴンの強烈な浮遊感は武器ですね~!
背景ボケは、ざわつく感じが確かにあるようですが、前ボケはそれほど感じませんね。
この背景ボケの感じ、秋や冬の弱い光では武器になりそうです♪
ミタゴンの描写は、どこかオールドレンズを感じさせます。
う~ん、結構好きかもですv^^
シャープさは、どちらも素晴らしい!
ミタゴンの、コンパクトさも武器ですね。でも、重量はライカ以上のようですから、凝縮感がハンパないですね。
標準画角のレンズって、一番使いますから、やはり一番増えますね^^;
いや~、勉強になりました!
ありがとうございますm(_ _)m
標準画角のレンズって、どうしても増殖気味になっちゃうんですよね、うちは25㎜だけで3本、20㎜も1本あります。^^;
最近はミタコンばかり使っていて、ズミルックスの出番が少なくなりましたが、それでも手放そうとは思わないです(^^♪
こういう比較実験って大好きなんですよね、同じ焦点距離のレンズがあるといつもやっているような気がします。^^;
PentaxのKマウントは、M42が使いやすいですから、K-1用に50㎜がどっと増殖するんじゃないでしょうか。^^
ヒースは一度見てみたいと思っていたので、ありがとうございます。